グローバルビジネスにおける価格交渉のリスク 値引きはサービス価値の低下を招く!?

今回のGlobal Businessの記事では"価格交渉"について考えます。ぜひ皆様の疑問やご質問、ご意見をお寄せください。

グローバルビジネスや海外展開において、価格交渉は避けて通れないテーマです。
海外の外注先、現地パートナー、コンサルタントと仕事をする際、予算や社内事情から価格交渉が必要になる場面があります。

ただ、日本国内の取引とは違い、海外の相手先との価格交渉には見落とされやすいリスクがあります。
今回のINSIGHTSでは、その中でも製造業とサービス業の「値引き」が持つ意味の違いについて考えます。

製造業の場合、価格を下げるために材料を変える、仕様を見直す、発注数を増やす、納期を調整する、物流条件を変えるといった対応が考えられます。価格と条件の関係を、比較的整理しやすい面があります。

一方で、サービス業では、人の経験、専門性、判断力、対応スピード、柔軟性や責任感もサービス価格に含まれています。
弊社のように、医療機器の海外薬事規制対応をサポートしている立場では、目に見える申請資料を作成することだけがサービスではありません。

「規制当局からどのような指摘が出てきそうか。」
「どのような補足資料を先に準備しておくべきか。」
「規制当局の担当者にどう説明すれば確実に伝わるのか。」

こうした一つひとつの判断や検討も、サービスの重要な価値ですが、お客様からは見えにくく、サービスの価値を感じてもらいにくい業務かもしれません。しかし、実際には最も時間を使うべき、重要な部分でもあります。

そのため、サービス業における値引き交渉は、単に「価格を下げてください」という意味にとどまりません。特に海外では、「あなたの対応や専門性の価値を下げてください」と受け取られることもあるため、注意が必要です。

日本国内の取引では、値引きに応じたとしても、同じ品質や同じ対応を維持することが当然と考えられる場面が多くあります。むしろ、値引きした側が「それでもお客様に迷惑をかけてはいけない」と考え、無理をしてでも同じレベルのサービスを提供しようとします。
ただ、この考え方がグローバルビジネスの現場でも必ず同じように通用するとは限りません。

海外では、価格を下げるということは、サービスのどこかを調整するという意味を持つ場合があります。対応範囲が狭くなる。優先順位が下がる。納期が長くなる。追加対応は別料金になる。こうした考え方は、日本以外の国では当たり前に感じることがあります。

もちろん、値引き交渉をしてはいけないということではありません。
重要なのは、価格だけを下げてもらいながら、同じ品質、同じスピード、同じ柔軟性を当然のように求めないことです。

短期的には外注費を抑えられたように見えても、長期的には相手の意欲や対応品質を下げていることがあります。
グローバルビジネスにおいては、価格交渉を日本と同じ感覚で考えるのではなく、価格交渉が与える影響や、相手との関係性をどのように作るのかを考えることがとても重要です。
相手が良い仕事をしたくなる条件を整えることも、大切な交渉力です。

価格を下げることで、コスト削減ができた。
有利な支払い条件で契約し、リスクを下げることもできた。
しかし、サービスの価値という面では、値引き金額以上のものを失っていませんか?

サービス業における価格交渉では、この問いを一度立ち止まって考えていただけたら幸いです。

クアルテックジャパンは、日本の医療機器メーカーのグローバル展開を支援し、アジア、ASEAN、オセアニアから米国FDAまで、現地とのコミュニケーションエラーを最小限にし、一日も早い医療機器の登録を実現出来るようサポートしています。